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弱小企業でなく強小企業になれ!

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燃える豆魂日記【豆腐道とうふみち】にようこそ。
山下ミツ商店の山下浩希です。

スーパーマーケットNISHIYAMAの西山進み社長の講演。
タイトルは「チェンジとチャレンジ-人のやらない事をやる-」


 私の一番嫌いな言葉は「弱小企業」。小さいことは弱いことか?
大不況期の中の大競争時代。その上少子高齢化でマーケット縮小。大変厳しい時代だが、それと規模は関係ない。もちろん私も規模を大きくしたいとは思っているが、規模拡大がすべてではない。大都市圏と違い地方の山間部は人が少ないので、そんなに出店はできる余地は無かった。小さくとも強い「強小企業」があっていいのではないか。
「数が力」はある意味正しい。大手は店数のオペレーションが第一で、細かいことはできない。店数の少ない企業は、店数の多き企業ができないことをやる。大手が、手間がかかりすぎてやらないことをやってきた。
 自分は農業に取り組んできたが、農業には手を出さない方がいい。私の会社は農業をやってきたが、私自身はやっていない。農業は素人でできるものではない。農業は自然観察業。夏の暑い日中に仕事をしたら、熱中症で死んでしまう。農業者は早朝と夕方に仕事をして、昼間は家で寝ている。時給いくらで考えては、農業はできない。田んぼと畑はまるで違う。畑はさらに難しい。よほどの覚悟がないと絶対に農業はできない。たまたま過疎地の売り先の無い場所で、日本で最高レベルの農業技術を持った農家というパートナーとたまたま出会ったことがうちがやれた理由。
 CO2が温暖化の原因と言われるが、実際には良く分からない。CO2排出権ビジネスのために、一部の人がわあわあ言っているのではないか。疑ってかかる必要がある。なぜうちがリサイクル事業ができたか?廃棄物処理法は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。SMから出る生ごみは一般廃棄物で、市町村で処理される。産業廃棄物は移動できるが、一般廃棄物はできない。SMで多い生ごみは野菜ごみ。次が魚のあら。魚のあらは良い堆肥ができる。廃棄物処理センターを作るには近隣の同意が得られにくい。うちは取り組みが早かったので作りやすかった。今は作るのが難しい。
堆肥作りの発酵には、嫌気発酵と好気発酵の2種類ある。好気発酵はお金がかかる。嫌気発酵は3度ほど移動するが、積んでおくだけ。冬になると湯気が出て煙だらけ。90度越えると燃えてしまうので、90度以上にならないようにコントロールが必要になる。イオンのどこかのSCでコンポストが爆発したのは、温度が上がりすぎたから。
 基本は土つくり。良い土とは、1mの棒がすっと地中に入ってしまうぐらいの土。土の中の菌が発酵し熱を出すために、真冬の0度の時でもハウス内の油をたかずにいちごが作れる。農業は本当に難しい。
 大根は今165円で売っている。相場は200円ぐらいしている。北海道から九州まで、有機農業に取り組んでいる農場と契約し、全量買取している。完全オーガニックは趣味的になり、独りよがり的になり望ましくない。
 植物は太陽光での光合成が必要。でももし日照時間が少なくても、スーパーX(有機的な薬)を使えば光合成が進む。ただこれを使うと土の養分を余分に使ってしまう。そういう農法を熱心な農業者とともに研究しながら、全量買取で契約している。農協は見かけばかり重視し、良いモノを作っても高く買ってくれない。みかんでも小粒の方が美味しいのに、小さすぎるとくず扱い。そういうものを積極的に仕入れている。
 
 商品開発。人のやらない事をやる。
 大手は店を増やすことに一生懸命で、本気で商品開発に取り組んでいない。うちは5店舗しかない。全国の競合しない24の企業(AJSの仲間中心)に協力してもらい、ロットを確保している。PBではなく、すべて留方。オリジナル・ブランド。どのぐらいのロットなら納得できる品質を作れるかを考えながら取り組んでいる。生肉しか使わないレトルト・カレーも、他社の安いPBとは味が違う。
 鮭「時知らず」。7kg。鮭の取れない時期に、間違って採れる幻の鮭。一切1280円で売れた。普段から本物を売っていると、こんなに高くても売れる。今年は桃が高いので、台湾マンゴを売り込んだらどうだと検討していたが、美味しい桃1個500円で売ったら売れた。
 弱小企業という負け犬根性では駄目。強小企業になる。ダイエーの強力店の近くに出店。最近は売上を逆転。なぜか。ダイエーは効率化・合理化ばかりで、勝手に弱くなった。効率化では絶対店は良くならない。小売業はあまり合理化できない業種。唯一の合理化はマイケル・カレンの発明したセルフ・サービスだけではないか。今度は阪急百貨店の食品売り場の横に出店することになった。競争の無いところは出ては駄目。従業員が馬鹿になる。
小売業には商品力と人間力の二つしかない。
 「店は客のためにある」を本当に実践しようとしたら、標準化も効率化もできない。大手には従業員だけで販売員は居ない。
 世界最大の金持ちのビル・ゲイツは巨額の資金を使って、種の保存をする事業を行なっている。今は植えたお米で種は作れない。お米は獲れても苗にならない。私たちの農業は種の保存をやっている。種屋さんは別として、発芽するお米を持っているのはうちぐらいではないか。
 世界人口の増加を考えれば、発展途上国の経済発展を考えれば、食料は逼迫する。食料の値上がりは必至。いつまでも安売りはできない。だから農家の人たちとタッグを組んで安定供給できることを目指している。東京以外の中央市場は駄目になるのではないか。田舎の市場は集荷できなくなる。
魚も本当に美味しいものは水揚げ時点で押さえないと買えなくなる。市場で叩いて安く買うなんてできない。水揚げ時点で最善の鮮度管理を行なうのとは、市場の残り物ではまるで品質が違う。
うちには日本初がふたつある。ひとつは、同じフロアで百貨店とSMが並んで店を出す。もうひとつは5年前に開発した冷蔵ケース。今まで仕入先分類の売場を変え、冷蔵でない農産乾物は農産売場へ。水産乾物は鮮魚売場へ、冷蔵ケースの上2段が非冷のケースを作った。豆腐の上で、冷奴にかけると美味い醤油やかつお節を陳列する。精肉で売っているタレは、精肉関連メーカーのものだけで、エバラやグロサリーメーカーのタレは売っていない。塩コショウも売っていない。
人のやらない事をやる!。大手が右をやったら、左をやる。天邪鬼戦術。本当にお客のためを考えての天邪鬼なら協力者が出てくる。だから野菜でも24社も協力してくれるようになった。
土用の丑は鰻。それは当たり前だが、夏バテ予防にトロトロ煮豚を売り込む。サラダにでも美味いトロトロ煮豚。

弱い企業はサラリーマン体質。サラリーマンの意味は、「今日も元気に働かん」。将来年金は無くなる。払う人が減り、貰う人が増える以上、支給年齢を遅らせるか、支給金額を減らすしかない。
売る工夫のできる人。売る工夫を考える努力を惜しまない人。サービス残業しろという意味ではないが、王貞治は寮に帰ってから、素振りし続けた。自分の能力開発の場として、真剣に販売したり、商品開発できる人が居るかどうか。
人は石垣。城を守るためには命は要らんという人がどれだけ居るか?流通業なんて名乗っていること事態が駄目。小売業に一番近い業種はヤクザ屋さん。「縄張り争い業」と思えば分かりやすい。出店して縄張りを取り合っている。
私たちの認識は甘い。私たちは「縄張り争い業」。率先して戦う気力が無いと生き残れない。戦後一番弱くなったのは人間力。店は客のためにある。お客のために何ができるのか???どれだけ命張って闘えるか。戦後失ったのは、根性、志。損得ばかりになってしまったが、損得ばかりで立派な人間になった人は居ない。
新入社員訓練はずっと自衛隊でやっている。世の中に出るとは、社会人とは、という基本が分かっていない。「今日も元気に働かん」人間になってしまう。自衛隊は団体行動。脱退は許されない。中には訓練について行けない女子社員もいる。そんな子も担いで帰ってくる。団体意識。もうひとつは赤穂浪士の忠臣蔵。あの時代でも赤穂藩の多くのうち藩士のうち、最後まで主君に忠誠を貫いたのは47人に過ぎない。その気持ちを持つ必要を教える。
理屈で合理化・標準化ばかりでは駄目。それよりもまずは土台。精神、理念。


※最後までお読み下さいましてありがとうございました。

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