≪商業界全国連合同友会総会 その1 | トップページ | 商業界ゼミナール企画運営会議≫

商業界全国連合同友会総会 その2 いい会社をつくりましょう

CIMG9955.jpg

banner2.gif←先ず人気blogランキング
クリックをお願いします。

山下ミツ商店の山下浩希です。


伊那食品工業(株)塚越寛会長(写真)の講演「いい会社をつくりましょう!」を聞いた。


3万坪の松林が20年かかってある程度見られるような整備ができてきた。毎日始業の20~30分前に社員が自発的に掃除をし整備をしている。土・日も休みに出て整備してくれる社員もいる。

社員は現在400人強。会社が嫌で辞める人はほとんど居ない。社員に少しでも良い待遇にする。すると社員がそれに応えてくれて業績が上がる。またそれを社員に還元すると、社員がさらに頑張ってくれる。伊那食品の社員はみんなファミリーになっている。

通勤を乗り合わせで、ガソリンをなるべく使わないようにと実行している社員がいた。社員旅行は家族旅行。知的障害者の社員を連れて行くのは大変だと思うが、社員が自ら連れて行きたいと連れて行ってくれる。

『いい会社をつくりましょう』という本は、社員に自分の考えを伝えるために書いたもの。それが出版されてもう4年も経つが、ぽつぽつ売れ続け4万5000冊ぐらい売れている。ビジネス書で売れ続ける本は少ない。売れ続けるのは、そこに不変の真理があるから。別に私が考えたことばかりでなく、二宮尊徳や松下幸之助から学んだことも多い。

最近のパチンコ放火事件や昨日の事件も、そこに共通するのは犯人には仕事がないこと。仕事がないのは辛いこと。一度採用したら雇用し続けることが経営者の責任だと考えている。絶対に首を切らないと決めてやってきた。

なぜ簡単に首を切ったり、首を切らなければならないような経営をするのか?JR西日本の社長が辞任したが、あの悲惨な事故が起きたとき、効率を優先したことが引き起こした事故だろうと思った。国鉄時代、親方日の丸で余りに怠惰であったので民営化した。現在、民営化は「株式上場し、より利益を上げること」だと考える風潮だ。

鉄道のようなインフラ産業は簡単に新規参入できないので、儲ける気になればすぐに儲けられる。NTTの光回線網は利用率の高い儲かる場所にしか引かない。これがインフラ産業のやるべきことだろうか?効率が悪い、不便なところには引かないというやり方ではさらに過疎化が進むだけ。インフラ産業とは言えない。

目的と手段を間違えてはいけない。会社の目的は金儲けではない。何かをしようとするために金が必要なので、手段として金儲けをしなければいけないだけ。世の中全体が金儲けが目的になっていないか。

 二宮尊徳は言った。「経済なき道徳は寝言だ!」金儲けもできないで理想論ばかりでは絵に描いた餅。「道徳なき経済は犯罪だ!」パンを1個盗んでも犯罪なのに、何百人も平気で首にしてそれを犯罪と言わずして何だ??あるべき姿を忘れているのではないか。

会社の目的は金儲けではない。儲かった金は社員のために使おう!創業期の最初はガムシャラに儲ける時期があっても仕方がないと思うが、20年30年経ったらそれではいけない。

会社は継続していくことが大切なので、老舗ン経営を研究した。老舗は、儲けより常に良いものを作ろうとしている。社員を大切にしている。地域を大切にしている。取引先を大切にしている。美しい店を作っている。

「ブランド化への10か条」にまとめて社員に理解してもらっている。その中に「メセナ活動に力を入れる」というのがある。メセナとは芸術・文化活動の支援。竹風堂さんも美術館を持ち、地域の町作りの一助と為す店を作られている。世界一の会社のマイクロソフトは素晴らしい美しいキャンパスになっている。

「企業というのはすべからく永続する仕組みを内蔵しなくてはならない」とビル・ゲイツは語っている。 ビル・ゲイツは稼いだ金を使い財団を作った。この財団はマイクロソフトを永続させるための活動、ブランド・イメージなのだなと私は思った。

不況だからといってみんながお金を使わなければさらに不景気になってしまう。なんらかの形でお金を使うことで、お金が動き景気が回りだす。お金は天下の周りモノ。この不景気の中で美術館を作ることにした。今では少なくなった細密画の画家の美術館。抽象画は基礎ができて内面が深くなってから、それを抽象画として初めて表現できるものだと私は考える。

若いうちに基本もままならないうちに抽象画を描くことはどうかと思う。そういう意味で細密画は原点ではないか。また子供たちに実際に農作業を体験させることもそれに通じる。たまたま倒産した会社の荒れた土地を使って農園も作っている。まだ赤字だが、儲けたいためにやるわけではない。

人間は道を知るために生まれてきた。道を知るためには学ばなければならない。学ばなければ、生まれないと同じと尊徳は言う。道とはあるべき姿。あるべき姿を知るために学ぶこと。学者のように知っても実行しない人もいる。経営者は実行できる。

学んだものを自分の中できちんと消化して、私は「いい会社をつくりましょう」という社是を作った。いい会社とは、単に業績数字が良いことだけではなく、その会社を取り巻くすべての人たちにいい会社だねと言われること。社員、その家族、取引先、地域の人々に日常の中でいい会社だねと言われる会社。

もし伊那にお越しになったら、ぜひタクシーの運転手にでも聞いてみてください。「伊那食品はいい会社だよ」と言ってくれると思います。それはアルプスの美味しい伏流水を地域の人たち誰にでも汲んでもらえるようにしたりしているからだ。「遠くをはかるものは富み、近くをはかる者は貧す」とも尊徳は言った。目先の欲で動いてはダメ。たとえ自分が儲かっても、周りの人が不幸になってはダメ。

そうであれば急成長は基本的にできない。急成長なんかできなくてもいいじゃないか?屋久杉がなぜ価値があるのか?長い時間をかけて今があるから。急成長は倒産のリスクを伴う。規模が大きければ潰れないわけではない。それは自動車業界のアメリカのビッグ3やトヨタを見れば分かる。会社は急成長してはいけないと考えている。

成長という言葉を間違えているのではないか。成長とは売上高の数字ですか?売上高が増えなくても、少なくともきちんとして利益を出して、その利益を正しく使っている会社なら、それは成長している会社だ。儲けたらまず社員のために社内の環境整備に使ってきた。

それを続けるうちに社員に考えが伝わってきた。そのうち社員が頭が下がるような行動をとってくれるようになる。40年前から社員全員で海外旅行をしてきた。40年前の会社の状況では儲かった金を海外旅行より設備投資が必要だったかもしれないが、社員のために使った。

昨年は50周年で奮発して欧州やニュージーランドへ行った。NZでは添乗員なしでレンタカーとレンタバイクで5百kmを移動した。初めて行く国でそんな行動ができるのは、社員が仲良くみんなで考える風土があるから。そういう風土から社員のホスピタリティが生まれてくる。うちの社員はとてもいい笑顔をしている。

性悪説で経営すると防犯設備などコストが上がる。性善説でやればコストが下がる。性善説には教育が必要。欧州の駅には改札の策が無い。ただ不正が発覚すれば罰金は高い。日本のJRの不正のできないように仕組みは素晴らしいが、コストはかかっている。


日本は悲惨な戦争を体験した。軍部の独裁に対して、戦後の日本は自由と権利を強調した。自由には必ず責任が伴い、権利には義務が伴う。学校を卒業するまでに国に補助してもらって学んでいるのだから、社会人になったらそれを返さなくてはならない。日本人はそういう考え方など一番大切なものを失った。

愛国心がなくては、地域を善くしようとは思わない。新入社員に教育勅語を教えている。日本人としての誇りや社会人としての責任を、身につけさせなくてはならない。

会社は潰れてはいけない。急成長してはいけない。利益はどう使うかが問題。あと大切なのはバランス。不景気になるとすぐ経費削減で広告を減らしたり止めたりする。広告は止めると、企業イメージが弱くなる。もう30年以上前に広告会社の子会社を作った。

会社を作れば維持するために、広告をやり続けなければならない。企業は新規顧客を作り続けなければならない。そのためには子供たちに広告することが重要。子供のイベントや行事に対して、広告活動している。

技術革新に備える。交通手段が変われば、立地が変わる。あらゆるものが変わっていく。常に変化に対してどう対応するかが経営者の仕事。変化に対して敏感であること。新聞や雑誌を読む。携帯電話の小さい画面では感じられないものが新聞にはあるので無くならないと私は思う。

今マスコミの取り上げる企業は、今現時点で突出した技術持っていても、30年後にいいとは限らない。永続するためには、何をやったらいいか、どんな技術を必要としているか考え、努力し続けていくことだ。
一ベン重要なのは「形の無いもの」に蓄積をしていくこと。「信用」。金には相続税がかかるが、信用にはかからない。「企業イメージ」。

寒天は栄養が無いからダメだと昔は言われた。今は栄養が無いからいいと言われている。それは時代が変わっただけ。流行に載せられてやっているだけは、時代の変化に対応できない。世の中マスコミはトレンドばかりを追っている。それを知ることは大切だが、一番大切なのは「変わらないもの」。

生きることは人間の義務。自殺はいけない。幸せになるのは人間の権利。

信用、会社のイメージ、それに社員のモチベーション。それらがブランドを作る。ブランドとは有名とは異なる。ブランドとは1円も値引きしなくても買ってくれるもの。ブランドができれば会社は儲かり、社員は幸せになる。

 郷土の伊那谷の美しい風景をカレンダーにして多くの方に配っている。今では9万部になりコストも1,500万円もかかる。でもそれを見た日本中の方が伊那谷を知り、伊那へ来ていただければ、地域みんながよくなる。


※最後までお読み下さいましてありがとうございました。

今日の「燃える豆魂日記【豆腐道とうふみち】」如何でしたか?
banner2.gif←よろしければ人気blogランキング
クリックをお願いします。


◆妻榮子のブログ「お豆腐で料理」
◆弊社WEBサイト白山とうふ工房山下ミツ商店

コメント (1)

「いい会社をつくりましょう」
本当に素晴らしい。

しかし、塚越さんの伊那食品は、
寒天で日本の80%のシェアを占めています。

「経済なき道徳は寝言だ!」
だから「道徳なき経済は犯罪だ!」

「社会的使命」⇒「利益」⇒「能力開発」⇒「社会的使命」
この循環を、「企業の複合目的」といいます。

伊那食品は、それが理想的に実現された会社です。
本当に素晴らしい。


コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

ページトップ